猿地蔵

 

むかしむかし、おじいさんとおばあさんがおったんだと

おじいさんとおばあさんは畑を耕して暮らしていたんだと

山のほうから猿が出てきてお地蔵様を盗んでいってたんだと

おじいさんはどうにかなんべぇねか、と思い

自分の体に灰をつけてお地蔵様のふりをして猿を捕まえることにしたんだと

おじいさんがじっと、お地蔵様のふりをしてまっていると

山のほうから猿が現れたんだと

おじいさんは目を閉じながらじっと様子をうかがっていると

やっやっや!!!こんなところにもお地蔵様がいる、連れて帰らねば

と、お地蔵様にふんしたおじいさんを猿達がかかえていったんだと

おじいさんはどうしたもんだべぇ、と思いながらもお地蔵様のふりをしていたんだと

やがて川にさしかかったときに、猿はおじいさんを持ち上げて

 

さーるのけっつはぬらしても、じぞうのけっつはぬーらすなぁ

 

と歌いながら渡っていったんだと

おじいさんは笑いそうになったが、我慢したんだと

そして猿とおじいさんは山にある穴ん中にはいっていたんだと

そしたら中にはたくさんのお地蔵様が並んであり

どの地蔵様にもたくさんの小判が供えてあったんだと

おじいさんも適当なところにお地蔵様としてまつられたんだと

そしたら、このお地蔵様にもお備えをしなければなんねぇ

と猿はたくさんの小判を供えたんだと

そして、猿たちは宴会をはじめたんだと

 

とんとこぴーんのぞーろぞろ あってれけのれー

 

なんて陽気に歌うもんだからおじいさんは笑いそうになったが我慢したんだと

そしたら猿たちは酔いがまわり、みんな眠ってしまったんだと

そしたらおじいさんは猿たちが眠っているすきに小判をあるだけ持って家に帰ったんだと

 

そしたら隣に住んでいる欲張りばあさんがこのことを聞いて

おじいさんに同じようにさせようとしたんだと

おじいさんはあまり気が進まなかったんだけど

おばあさんに裸にさせられて灰を塗りつけられてお地蔵様として猿が来るのをまっていたんだと

そしたら猿がやってきて

やっやっや!!!お地蔵様がこんなところに戻っている

と、お地蔵様にふんしたおじいさんを猿達がかかえていったんだと

そして川を渡る時に

 

さーるのけっつはぬらしても、じぞうのけっつはぬーらすなぁ

 

と歌いながら渡っていったんだと

おじいさんは笑いそうになったがすんでのところで我慢したんだと

そしてそして猿とおじいさんは山にある穴ん中にはいっていたんだと

そしたら中には隣のおじいさんの言うとおりたくさんのお地蔵様が並んであり

どの地蔵様にもたくさんの小判が供えてあったんだと

おじいさんも適当なところにお地蔵様としてまつられたんだと

そしたら、このお地蔵様にもお備えをしなければなんねぇ

と猿はたくさんの小判を供えたんだと

そして、猿たちは宴会をはじめたんだと

 

とんとこぴーんのぞーろぞろ あってれけのれー

 

猿たちが陽気に歌うもんだからおじいさんは笑うのをこらえていたんだけども

ついに

 

はっはっはっは

 

 

笑ってしまったんだと

そしたら猿たちはびっくりして

前の地蔵様もお前だなぁ

と、猿たちに襲われてしまったんだと

どうにかこうにか逃げ出したおじいさんは

はだかで血まみれになってになったんだと

そんなことをしらない欲張りばあさんはおじいさんが赤いおべべを着たように見えたんで

そんならばおらの着物なんていらねぇと、燃やしてしまったんだと

 

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