猿の生き肝

 

むかしむかし龍王の娘である乙姫が病気になってしまったんだと

いつまでもよくなんねぇもんだから

どうしたことだなぁ

と思っていたら

こういうときは猿の生き肝がいいときいたんだと

それで、だれが猿の生き肝を取りに行くかということになって

海と陸に行くことが出来る亀が行くことになったんだと

亀はさっそく陸に行き、木に登っている猿に声をかけたんだと

さるどん、さるどん、竜宮城にいかねえか

いーっぱいおいしいもんがあるぞ

といわれたもので猿は

そんなら竜宮城に行くかぁ、でもおらはおよげないぞ

というと亀は

なーに、おらの背中に乗って目をつぶってればつくぞ

といわれたので

猿は背中に乗ってめをつぶっていたら

あっというまに竜宮城についたんだと

そして、猿はおいしい食べ物をいっぱい食べて風呂にいったんだと

風呂で猿がいい気分になっていると

外の方から声が聞こえるんでんだろなぁ、と聞き耳立てると

たこが

これから肝を取られとも知らないでのんきなものよのォ

と、いっていたもんだから猿は肝を冷やして

どうにかして逃げなければなんねぇ

と思い、亀に

亀さん、亀さん、おら生き肝を木に干したままにしちまった

生き肝が濡れると使い物になんねぇから

早く戻って生き肝取りにいかねぇと

と言ったので亀はびっくりして猿を乗せて陸に戻ったんだと

そして陸につくなり猿は木に登ったんだと

亀は

さるどん、さるどん生き肝はどこだい

というので猿は

生き肝なんてそんなもの干していないさ

ちゃーんとおらの体の中にあるんだ

といって亀に向かって木の実を投げつけたんだと

そしたら、亀の甲羅にぽーんってあたってしまったんだと

この時から亀の甲羅にはひび割れのあとが残るようになってしまったんだと

そしてな、たこは猿にしゃべったことでみんなからたたかれたりけられたりして

骨抜きになってしまったんだと

 

ん?

乙姫の病気はどうなったかって?

 

 

 

それだけはわかんねぇなぁ

 

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